小谷野敦「文章読本X」
小谷野敦の本の中ではつまらない部類だった。
というか、これは、論理的かつ正確な文章を書くことを勧める本で、美文&名文の指南書ではない。
自分は、圧倒的に美文&さに牽かれる。
太宰や芥川は、惚れ惚れするほど文章がキレイだ。
海外だとニ〜チェはかなり上手い。
もちろん、自分はドイツ語が理解できないので、英訳ないしは邦訳でであるが。
ニ〜チェの邦訳は、知ってるいる限りでは、竹山道雄がイイ!
「ビルマの竪琴」の著者だ。
彼の「ツァラトストラかく語りき」は、本当に名訳だと思う。
英訳もイイが、竹山道雄訳も捨てがたい。
余談だが、漱石も「ツァラトストラかく語りき」を英語で読んだ。
英国留学中に。
一方、岩波文庫版の「ツァラトストラはこう言った」はダメである。
まず、題名からしてバカ丸出しだ。
「かく」というのは「このように」という意味で、「語りき」というのは「語った」という意味だ。
いずれも古文だと思う。
思う、と言ったのは、自分は高校でアメリカに行ったので、古文は習ったことがないからだ。
話が逸れた。
閑話休題。
が、以外にも、川端康成は、陰では文章がマズイと言われてたそうである。
また、語彙も貧困だったらしい。
「やさしい」「やさしい」とばかり書くので、翻訳者が、その都度、別の言葉に訳したという。
面白いエピソ〜ドとしては、和辻哲朗(京都学派の哲学者、「風土」が有名)が、オスカ〜・ワイルド(どうでもイイがホモである)の「ドリアン・グレイの肖像」を原書で読み、谷崎に貸したら、「君がアンダ〜ラインを引いた所以外は面白かった」と言われて、文学の道を諦め哲学者になったというものだ。
また、知らなかったのだが、シェイクスピアの戯曲やダンテの「新曲」は、アイアンビック・ペンタミ〜タという韻律、つまりリズムによって書かれているらしい。
なんだよ!
邦訳で読んでも意味ないじゃん!